研究(試合で勝つために・・・)
1、去年、実業団に入った元教え子の女の子は、小・中とデータを取った所、13点を先に取ると、勝率が90%以上でした。
これを選手に伝えた時、前半の集中力が上がり、逃げ切る試合が増えました。
2、20年前、世界の女子のバドミントンを映像で見て、分析したとき、ロングサービス、サーバーが打った瞬間から、相手が打つまでの時間が2、2秒以上でした。
小学生上級生から中学生に指導したところ、勝ち星が一気に上がりました。
その他、各ショットの一試合当たりの%を何人かの世界選手でとり、データ化し、生徒に教えた所、やはり勝ち星が一気に上がりました。
3、多くの選手の試合スコア―を分析すると、3点以上の山が多い方が勝つ可能性が高いことがデータ上分かります。
A0123 4 567 89 101112 13 14
B 12 34 5678 9 1011 12 13
1516 171819 20 21
141516 17 18
3点以上の山が、Aが4回、Bが2回でAの方が勝った試合です。
子どもたちに教える時に、スコア―用紙を見せ、説明すると、分かりやすいです。
また、決めた得点なのか、相手のミスでの得点なのか、分かるように印をつけると、自分の実力で勝てたのか、相手のミスで勝てたのか、分かります。
4、練習や試合を映像として分析し、良い時と、悪い時との差をデータ化。つま先3㎝、肘2㎝など、㎝単位での差が、ショットの正確さ、プレーのバラつき、1本1本は、たった1㎝でも、ラリーを10本続ければ、10㎝、20㎝のズレになり、アウトになったり、チャンス球になったりします。
5、ライバル、相手の分析もすることにより、「勝ちパターン」「負けパターン」が見えてきます。実力差に大きな差がある場合には、あまり使いませんが、小さな差の時には、ショットの癖、ショットのパターンなどが、得点の差に表れます。
例えば、次の試合までに3か月ある場合には、選手自身の力も当然上げていきますが、同時に、試合相手の苦手な部分への攻め方、相手の得意な攻め方への対応なども指導していきます。
大会では、4人から5人くらいの上位選手のデータを取っておくことで、試合までの準備ができます。
6、相手が分かっていれば、選手の現時点の実力と相手の試合までの実力予想を計算し、どの試合で勝てるのかを逆算、練習していくことが可能です。
選手、保護者が「勝ちたい」という意志を持ち、練習していくという覚悟が明確であれば、「勝つための練習」をしていくことは、どの子でも可能だと思います。
7、指導者(カントク・コーチ)、保護者が現時点での同学年、2個上、2個下のトップ選手の実力(県・地区・全国)を知ることは、選手を勝たせるためには必要な事です。
小学六年生の全国選手は、中学生県ベスト4、高校生県ベスト8に入れるくらいの実力だと考えてもいいと思います。
逆に言うと、小学六年生で全国上位に行くためには、中学生県ベスト4、高校生県ベスト8には勝っていかないといけません。
中学生、高校生に全国トップの選手がいる県、実業団がある県でしたら、小・中・高と強化していくことは、そんなに難しくないはずです。
練習ではなく、試合相手として、パートナーをしてもらい、データ分析し、憧れからライバルの変わるように強化練習していけば、県全体で強くなり、地元選手が多い地域型の実業団チームが出来ていきます。
田中信雄